デイサービス(通所介護)が開業できる人員基準は?計算式や最低人数・看護師配置時間など解説

「デイサービスを開業したいけど人員基準がよく分からない…」
「デイサービスの人員基準を満たすにはどんな資格を保有するスタッフが必要なの?」
という方に向けて、デイサービスの開業で必要な人員基準や注意点などを具体的に解説します。
デイサービスを開業するには、介護職員や看護職員、管理者などの人員を法令に従って揃えなければなりません。
これから開業を目指す方は本記事で人員基準を把握し、トラブルを防ぎながら安心して運営できるデイサービスを目指しましょう。
デイサービスの人員基準とは?

デイサービスの人員基準とは、デイサービスを運営するうえで必要となる職種や人数、勤務形態などを定めた基準です。
介護保険制度に基づき、厚生労働省が定める「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」に従って人員を配置する必要があります。
人員基準を満たしていないと指定申請が通らないため、開業を決めたら早めに確認しておきましょう。
また、デイサービスには「一般型通所介護」「地域密着型通所介護」「認知症対応型通所介護」などがあり、種類によって求められる人員基準や配置ルールが異なります。
立ち上げ予定のデイサービスの人員基準を把握しておきましょう。
参考:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準|厚生労働省
一般型通所介護の人員基準
| 職種 | 配置基準 |
|---|---|
| 管理者 | 常勤で1名(他職種との兼務可) |
| 生活相談員(※) | サービスを提供する時間帯に常に1名いるように配置する |
| 看護職員 | 看護業務に専従で1名以上(非常勤や訪問看護ステーション等との連携は可能) |
| 介護職員(※) | ・利用者数が15人まで:1名以上 ・利用者数が16人以上:1名+(15人を超えた人数×0.2)名以上 |
| 機能訓練指導員 | 1名以上(他職種との兼務可) |
上記の表は、一般型通所介護の事業所で必要となる主な職種と配置基準の目安をまとめたものです。人数は、常勤換算法により算出します。
表内の人員基準は法令により定められている、利用者の安全やサービスの質を維持するため必要最低限の配置です。
それぞれの職種について詳しくみていきましょう。
参考:通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護|厚生労働省
管理者
一般型通所介護の管理者は、事業所全体の運営を統括し、職員の指導やサービスの質を維持する役割を担います。
常勤の社員を1名配置する必要であり、介護職員や生活相談員など他の職種との兼務も可能です。ただし、他職種との兼務をする場合でも、管理業務に支障が出ないよう注意が必要です。
利用者や職員の状況を把握し、運営方針の決定や人員管理を行うため、マネジメント能力が求められます。
生活相談員
生活相談員は、利用者や家族との相談・調整を行い、各関係機関との連携を担う職種です。デイサービスで、利用者と事業所、医療機関をつなぐ役割を持っています。
一般型通所介護の生活相談員は、1名以上の人員が必要です。介護職員に常勤がいない場合には、専従常勤の職員を1名は配置しなければなりません。
1名以上配置する場合、2人目以降は非常勤や兼務の人員配置も認められています。
生活相談員は、社会福祉士・社会福祉主事・精神保健福祉士のいずれかの資格が必要です。ただし、都道府県の判断によっては資格を保有していなくても、実務経験がある人であれば認められるケースもあります。
看護職員
看護職員は、利用者の健康管理や服薬確認、医療的ケアなどのサービスを提供する職種です。 デイサービスの看護職員は専門知識から利用者の健康管理を担当し、必要に応じて医師や家族へ報告・連携を行います。
専従で1名とされており、事業所内に看護職員がいない時間帯を設けないようにする工夫が必要です。
また、看護職員を自事業所で確保できない場合は、訪問看護ステーションなど外部機関と連携して補充することもできます。
介護職員
介護職員は利用者の日常生活を支援し、入浴・食事・排せつなどの介助を行います。 利用者と直接関わる時間が長く、デイサービスの質や雰囲気などに大きく関わる重要な職種です。
配置基準は、利用者数15人までは1名以上、16人以上の場合は「1名+(15人を超えた人数×0.2)」名以上の介護職員の配置が必要です。
介護職員が不足するとサービスの質が低下しやすいため、事業所の状況に応じてスタッフ数を調整しましょう。
機能訓練指導員
機能訓練指導員は、利用者ができる限り自立した生活を送れるよう心身機能の維持や向上を目的とした訓練を行う職種です。
配置基準は1名以上で、全スタッフが非常勤でも問題ありません。ただし、他の職種と連携しながら効果的な機能訓練を実施するための専門的な知識と技術が求められます。
機能訓練指導員は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・准看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師などの資格が必要です。はり師・きゅう師の場合は、実務経験の要件があります。
地域密着型通所介護の人員基準
| 職種 | 配置基準 |
|---|---|
| 管理者 | 常勤で1名(他職種との兼務可) |
| 生活相談員 | 専従常勤1名の配置が望ましいが、非常勤や兼務でも認められる場合がある |
| 看護職員(※) | 1名以上(定員が11人から18人の場合)(非常勤や訪問看護ステーション等との連携でも可) |
| 介護職員(※) | ・利用者数が10人から15人まで:1名以上 ・利用者数が16人から18人:1名+(15人を超えた人数×0.2)名以上 |
| 機能訓練指導員 | 1名以上(他職種との兼務可) |
地域密着型通所介護の人員基準は上記の通りで、人数は常勤換算法により算出します。
地域密着型通所介護とは、利用定員が18名以下の小規模デイサービスを指します。市区町村が指定・監督を行う介護保険サービスです。
人員基準は一般型通所介護とほぼ同じです。しかし「生活相談員は非常勤や兼務でも認められる場合がある」「定員が10人以下の施設の場合には、看護職員または介護職員のいずれかを1名配置すればよい」など一部の基準で一般型通所介護とは違いがあります。
参考:通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護|厚生労働省
認知症対応型通所介護の人員基準

- 単独型
- 併設型
- 共用型
認知症対応型通所介護には上記3種類があり、いずれも認知症の方を対象とした12名以下の少人数制デイサービスです。
単独型は認知症対応型通所介護のみを運営しており、併設型は特別養護老人ホームやグループホームなどの施設に併設されています。
単独型・併設型の人員基準はほとんど一般型通所介護と同じですが、介護職員は「利用者3人に対して1名以上」の配置が必要であり、手厚い基準が義務付けられているのが特徴です。
共用型は、グループホームなど福祉施設の共用スペースを活用して実施するサービスであり、管理者以外の従業員数は「各事業ごとに規定する従業者の員数を満たすために必要な数以上」とされ、サービスの提供に支障が出ない人員を確保しなければなりません。
参考:通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護|厚生労働省
デイサービスの常勤換算とは?

デイサービスの人員基準は、常勤換算で計算します。常勤換算に関して詳しくみていきましょう。
常勤換算について
介護サービスの人員基準を満たしているかを判断するために使う計算方法です。パートやアルバイトといった非常勤や兼務のスタッフがいる場合、何人分の常勤スタッフに相当するかを算出するために使われます。
常勤換算法によってスタッフは多様な形で従事でき、事業所的にもサービスに必要な勤務時間の総量を確保することが可能です。
非常勤スタッフを組み合わせて人員基準を満たせるため、営業体制が整えやすくなります。
常勤換算の計算方法
上記は、常勤換算の計算式です。たとえば、常勤職員の1日の勤務時間を8時間とした場合、4時間勤務の非常勤職員が2人いれば、(4時間+4時間)÷8時間=1人で「常勤1人分」として計算できます。
ただし、サービス提供時間中には、必要な職種が常時配置されていなければなりません。シフトで人員が途切れないように調整する必要があります。
デイサービスの人員基準で注意すべきこと

- あくまで最低基準である
- 違反した場合はペナルティがある
- 兼務・常勤の解釈と計算ミス
デイサービスの人員基準で注意すべきことは、上記3点です。それぞれ詳しくみていきましょう。
あくまで最低基準である
法令で定められた人員基準は、あくまで事業を運営するうえで必要な最低限の基準です。 法令で定められた人数を配置していれば開業できますが、サービス内容によっては不足するかもしれません。
人員基準を最低ラインとして捉え、施設の方針や利用者の状況に合わせて柔軟に対応できる体制の整備が重要です。
たとえば、支援の必要性が高い利用者が多い場合、基準どおりの人数では対応が追いつかないおそれがあります。
施設の方向性やターゲットなどを考慮し、適切な人員を配置しましょう。
違反した場合はペナルティがある
- 人員基準欠如減算
- 指定取り消し
- 開業不可
人員基準を満たさずにデイサービスを運営した場合、行政から上記の3点のようなペナルティを受ける可能性があるため、注意が必要です。
配置基準を一時的に下回ると「人員基準欠如減算」の処分を受け、一定期間報酬が減額されることがあります。
それでも基準違反の状態が改善されず長期間続いた場合には、自治体から「指定取り消し」や「業務停止命令」が下されるでしょう。
指定が取り消されると介護保険サービスを提供できなくなり、実質的に開業不可の状態になります。
人員の欠勤や退職などで一時的に基準を下回る場合は速やかに行政へ報告し、スタッフの補充を急ぎましょう。
兼務・常勤の解釈と計算ミス
兼務や常勤の解釈を誤り、人員配置が基準を満たしていないと判断される場合があります。
兼務は「管理者が生活相談員を兼ねる」「生活相談員が介護職員を兼ねる」など、複数の職種を兼ねて担当することです。
ただし、兼務は業務に支障がない範囲に限られており、勤務時間の重複や過剰な負担がある場合は避けなければなりません。
一方、常勤は原則週32時間以上、継続的に勤務するスタッフのことです。常勤スタッフの勤務時間は、事業所の就業規則により決めます。
また、月ごとにシフト表の作成や勤怠記録の入力や勤務時間数の計算などを間違えると、人員が不足する日が発生する可能性があるでしょう。
非常勤スタッフの合計時間が常勤1人分に達していなければ、1人分の人員基準を満たしたことにはなりません。
勤務時間の根拠となるシフト表や勤怠記録を確認し、実際の配置人数と常勤換算の数値が一致しているかどうかの丁寧なチェック体制を整備しましょう。
デイサービス開業時はらっくうぇぶでホームページ作成

デイサービスの安定的な運営には、利用者の獲得だけではなく複雑な人員基準のクリアと継続的な人材採用が必要となってきます。
採用と集客で勝つには、施設の魅力を正確に伝える専門性の高いホームページが不可欠です。
ホームページ作成代行らっくうぇぶは、介護業界に特化した集客力の高いWebサイトを作成し、月々3,800円(税込4,180円)のリーズナブルな料金で提供します。
採用や運営に集中できるよう差別化・ブランディング施策の提案から開業後の運用サポートまでトータルで支援するため、デイサービス運営を成功へと導くでしょう。
デイサービスを開業する際には人員基準を確認しておこう
デイサービスを開業する際には、必ず人員基準を満たしているかを確認しましょう。
管理者・生活相談員・看護職員・介護職員・機能訓練指導員などそれぞれの職種には配置基準が定められており、人員が不足していると開業後に減算や指導を受けたり営業停止処分を下されたりするおそれがあります。
また、人員基準はあくまで人員配置の最低ラインであり、開業をスムーズに進めるためには制度を正しく理解し、余裕を持った勤務体制が大切です。
基準を満たすための「人材確保」は人材不足といわれている介護業界において大きな課題となるでしょう。採用を成功させるためには、開業前から魅力的なホームページの作成が必要です。
「らっくうぇぶ」は介護業界に特化したホームページ作成代行で、複数店舗のデイサービス運営実績を活かし、業界特有の事情を考慮した質の高いホームページを作成します。
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